「なんとめでたいご臨終」を読んで

在宅ホスピス緩和ケア

本屋さんで何となく目に留まった本、「なんとめでたいご臨終」

 

この本は日本在宅ホスピス協会会長で小笠原内科・岐阜在宅ケアクリニック院長の小笠原 文雄先生の本です。

 

在宅ホスピス緩和ケアの「在宅」とは暮らしている"処ところ”。「ホスピス」は命を見つめ、生き方や死に方、看取りの在り方を考える事。

「緩和」とは痛みや苦しみを和らげること。「ケア」とは人と人とが関わり、暖かいものが生まれ、生きる希望が湧いて、力がみなぎる事と書かれています。

 

この本は実際に長年在宅ホスピス緩和ケアで多くの方を笑顔で看取ってきた先生の体験談と、遺族が先生とで看取った直後にピースサインをしながら撮った泣き笑いの写真が載っています。

 

病院で痛みで耐え苦しみながら亡くなる方が多い中、在宅で痛みを緩和しながら“ピンピンコロリ”で死ねる方は本当に幸せだと思います。

現在75%以上の方が病院で死を迎えます。しかし実際は介護保険制度が出来た事や在宅医療の質の向上によって、一人暮らしの末期がんの患者さんでも「最後まで家にいたい」という願いはかなえられるそうです。

 

患者さんは、仕事をやり遂げたい、畑に行きたい、お酒が飲みたい、子供・孫たちと一緒に旅行に行きたいなどと願う人たちです。

 

その方々に共通して言えることは、病院でもがき苦しんでいた人が緊急退院をさせてもらって、在宅で痛みを取る処置をしてもらうと、みるみるうちに元気になり、やりたかった事が叶う。そして(生きる日数は個人差があるが)やり終えた後にコロリと死んでいきます。

 

本当になんて幸せでめでたいご臨終なのでしょう。

 

多くの方は苦しまずに家族の見守る中、幸せに亡くなっていきます。病院で苦しんでいた顔を見ていた家族にとっては思わずピースサインで写真を撮りたくなるくらい、本当に喜ばしい死なのでしょう。

 

私、筆者も自分の身や家族の身に置き換えるとこれを選択すると思います。ただ、病院で(抗がん剤など)治る可能性がある場合は病院でしっかりと治す。可能性がないものは自分の考える“処ところ”で好きなように過ごしてもらう。と文中に先生もおっしゃっていますが、しかるべきところに相談をして最後の在り方を考えたいと思いました。

 

今現在、苦しんでいる方がいらしたらこの本を手に取ってみることも良いのではないでしょうか。

 

葬儀社としての遺族とのかかわりは、ご臨終後の事ですが、皆どのように死を迎え、どのように看取られて旅立ったかという事、一人一人にドラマがあるという事は忘れてはいけないと改めて思います。