直葬のとらえ方-低価格、格安という表示について考えてみる。

火葬式・直葬の捉え方について追記

以前書いた記事以来、久しぶりに直葬(ちょくそう)について触れてみます。

弊社では前の記事からお話しをしている通り、直葬という呼び方がまるで“産地直送”みたいなイメージで嫌なので、『火葬式』という呼び名にしております。

ここからが皆さんにお伝えしたい大切な事です。

直葬とは、儀式的な事をしないで、直接火葬する事ととらえられています。

(亡くなった先の病院などから直接火葬場へ行き、荼毘に伏す事。と書いてあるサイトも見かけますが、これは間違いです。どこからか聞きかじっただけのレベルの知識不足のライターが書いただけでしょう。病院から火葬場へ直行というのはまず現実的ではないからです。)

たしかに儀式的な事をしないで直接火葬というのは合っています。
しかし、私たちが火葬式という言い方を守っているのには、それなりの思いがあるのをお伝えしたいのです。

それは、儀式的な事はしなくとも、ご遺族と、故人をつなぐ最後のお別れの場を提供したいと考えているからです。ゆっくりとお別れが出来て、心に残る最後が出来れば、それがみなさんの式になり得るからです。

今回、これをお伝えしたいと思ったきっかけは、このような事にあります。

それは最近お客様の問い合わせや、弊社主催のセミナーでの質疑応答でも出てくるご質問なのですが、、、

「火葬とか、直葬の事で調べていると、たくさん業者がでてきますが、なぜ同じ内容でこんなに金額の差があるのでしょうか?」という事です。

たしかに、“直葬プラン一式8万円”というのもありますし、20万円~30万円という葬儀社もあります。

儀式をしないで火葬をするだけというのは同じで、なぜこんなに費用の開きがあるのか?

いいえ、違います。ちゃんとそれなりの対価をお客様から頂いて行っている葬儀社は火葬するだけではない(はず)のです。

どういう事かと言いますと、

例えば、ほんの一例ですが弊社の様に自社の無料安置室にて、火葬場へ行く前にゆっくりとお別れができる場所を提供する事であったり、ある葬儀社は綺麗な着付け、ある葬儀社はお花いっぱいに飾ってあげる。など、それぞれお客様の満足度や費用対効果をあげる何かを工夫している所が多いです。

その反面、“業界最安”とか“格安”とかさらには”激安”などとちょっと度が過ぎる言い回しで安さばかりを強調しているところほど、注意が必要です。

東京にはびこる直葬屋-低価格・激安という表示

直葬ばかりを請け負っている、(私たちの呼び名で)直葬屋というのが東京都内で数えただけでも、数えきれないほどあります。

直葬屋の請負は、火葬場の予約と少しの知識と棺などの備品を提供してくれる問屋があればだれでも簡単にできる仕事なんです。
あとは、実店舗を持たなくても携帯電話といかにも大企業が作ったような、理念も立派な事が書いてあるホームページさえあれば準備は整います。

その信用できそうなホームページから依頼すると、実際は請負の寝台車会社(直葬屋ではありません。あくまでも搬送専門の請負業者です)が迎えに行き、ご安置。直葬屋は金額の事や業務的な話をするのみで終了。当日に火葬場でさらっと業務をこなすという事になります。

安さを売りにしている直葬屋さんから、「そんなことは無い。うちはちゃんとやっている!」とクレームが入りそうな事ばかり書いてしまいましたが、事実、そういう所がはびこっている東京の実情があるのは確かです。

また、直葬で安く済ませたいと考えていて、この記事にたどり着いた読者の方からは、「なるべく安くやってくれるところを探しているのに、脅かさないでほしい」との声も聞こえてきそうですが、

実際に頼むと、表示されている範囲内の金額で収まる事が少なくなかったり、(東京都内の民間火葬場は火葬料だけでも約6万円かかります。上記に書いた一式8万円で出来るわけありません。)オプションがやたらと高く、結局は他と同じような値段になる事も多いのです。

火葬のみをご希望だとはいえ、費用をなるべくかけられない理由があるとはいえ、火葬式もやり方次第では立派な葬送儀礼になります。見積もりで安さを訴求するよりも、その金額内で、どのような事までしてくれるのかを聞くことが、なによりも大切です。また、〇〇万円でどこまでしてくれるかというような相談もありだと思います。真剣に取り組んでいる葬儀社であれば真摯に受け止めてくれると思います。

このようにお客様が少しの手間と(できれば)事前相談をしておくことが結果的に一番納得のいく葬儀になる事という事をお伝えさせて頂きました。